小話

自動車免許の筆記テストで3回落ちました

今年は自動車免許更新の年だ
僕は神奈川県民なので、二俣川免許センターで免許更新を行う必要がある


二俣川免許センターは、昭和のノスタルジーに浸れる古い建物なので
何気に毎回行くのが楽しみな場所でもある(めっちゃ混むし暑いけど)


しかし最近になって免許センター新館が完成し、旧館は取り壊されてしまった


もうあの古臭い建物を味わうことができないのは残念だ


行った回数としては全然多くないが、旧館で起こった出来事を忘れない内に書いておきたいと思う

また、自分の体験が読んだ人の何かしらの糧になれば幸いです

筆記テスト 何回も落ちるとか普通は無いけど俺は何回も落ちた

高校を卒業して時間があった僕は、教習所に入学して自動車免許の取得に励んでいた


自動車免許を取得するには、仮免試験と本免試験でそれぞれ筆記と技能を合格する必要がある


仮免試験の筆記と技能は一発でクリアしたが、僕は本免試験の厚い壁に阻まれていた


この話の時点ですでに本免の筆記テストに2回落ちている


友達や家族から「え、車の免許とるのにそんな落ちるやつはじめて見るわ~」とか言われるのは耐えがたい


これ以上、筆記テストを落ちるわけにはいかない


そう強く感じた僕は問題集を読み込み、全ページ暗記して3回目の筆記テストに挑んだのである


味わうのは天国か地獄か…いや両方だ

全力を出し切り、テスト用紙の項目をすべて埋めた僕は合否発表を確認するために電光掲示板前に向かった


そこには不安げな顔をしている外国人男性2人、携帯電話をいじっている女子大生
合格は確実だと言わんばかりの余裕顔のメガネの男性

などの自分と同じような合否の結果待ちの人々で多少混雑していた

みんな様々な過ごし方をしているが、みんななんとなくそわそわしている

まぁしょうがないことだ、なにしろこの合否次第で天国と地獄が決するのだ
とはいえどっしりと待つのが男と言うものだ


そう思い僕は無表情を保ちつつ、そわそわキョロキョロしながら合否発表の時を待った


5分程経っただろうか
女性の声で「これより本免筆記試験の合格者を発表致します」とアナウンスが流れた

緊張する一同


アナウンスが終わるか終わらないかのタイミングで電光掲示板にパパパパッと番号が羅列されていく

緊張の一瞬だ



ここに自分の受験番号があれば、合格だ
ちなみに自分の番号は412

128 129 131 140 145…
290 312 320 323 344…

番号が出るたびに周りで歓声や悲鳴が聞こえてくる

合格した喜び、不合格の悲しみ
いったい自分にはどちらの感情で満たされるのだろうか、絶対喜びたいわ

いずれどちらかの感情が訪れる、もうすぐ訪れる

380 399 402 412 433…


…え、え

え、いやあるじゃん!合格してるじゃん!!



良かったやったぜさすが自分だ
そりゃそうだよな問題集全部暗記したもん、これが俺の本気だこのやろう!


ひとしきり自分を褒めちぎった後に、周りを見ると合格した面々がめっちゃ喜んでいた

外国人男性2人は仲良く合格したようで、笑顔で抱き合っていた。微笑ましい

女子大生は家族に電話しているようだ
「うん、受かったよ!」
嬉しそうに報告している。微笑ましい

余裕顔だったメガネの男性は「フンッ」と鼻で笑いながらニヤリと笑っていた
受かったのかお前、ちょっと残念だぞ


しかし皆が笑顔じゃないか、なんて幸せな空間なんだ!
喜びの感情で満たされた僕はこの世のすべてに感謝し、合格した自分が誇らしかった




そんな時にまたアナウンスが
「申し訳ございません、先ほど発表した数字に間違いがございましたので再度結果を発表いたします」


え?

やめて…




126 129 133 144 145…



いや、ちょっとまって



295 310 320 326 350…



いや受かってれば何も問題ない問題ない412はまたあるはずだ
自分を信じろ大丈夫だ



385 400 407 422 456…





いや、ないんかい!!




なんだこれ?なに?
なにこの気持ちは?こんなぬか喜び体験したことない
一言で言えば「がっかり」
それだけ

つらい
ていうか問題集丸暗記したのに落ちたとかやべえわ
もう帰りたい
帰ろう



「また、不合格したかたは説明がありますので掲示板裏側の通路に集まってください」

帰ろうとした僕に無慈悲なアナウンスが

もう説明とかいいから帰らせてくれないかな?普通に落ちるより辛い目にあってんだわこっちは


とはいえ次また受験するときに何か不都合があると困るので渋々掲示板裏側へと向かった

掲示板裏側は薄暗く、どんよりした空気が流れていた
皆に笑顔はない
地獄だココは

こんなところはさっさと去りたいからとっとと説明終わらせてくれよ
スタッフはまだ説明しないの?スタッフどこなの?
と周りをキョロキョロしたら見知った顔を見つけた


2人の外国人男性、女子大生、メガネの男性


さっき喜んでた人たちみんな落ちてた
みんなションボリしてる
見てらんない

外国人の2人に至っては泣きそうだったもん

いや気持ちはわかるよ、おれもちょうどさっき同じ目にあったからね!

女子大生もつらいよ、また後で報告しないといけないもんな。想像するだけでつらい

つーかメガネの男性の余裕の顔はなんだったんだ、お前は受かってろよ




衝撃が大きすぎて結局説明は何言ってたか忘れた


裏校に売ったのは魂

一度の合格発表で嬉しさと悲しさ両方を体験させられた僕は、タブーだと断じていた裏校に頼ることにした

裏校とは通称で、店の正式名としては別にある
どんな施設なのか簡単に説明すれば「筆記テストの答えを教えてくれる場所」だ

1回5000円ぐらいだ

受験料が1750円だと考えると中々の値段だ


インチキしているようで気が引けていたが、なにせこちとら3回も落ちた身だ


おれもいい加減もう合格したいんだ!


そう心の中で叫びつつ、裏校の入り口前にいる胡散臭そうなオッサンに5000円を渡したのであった

なんだか渡した5000円が自分の魂に見えたが、もう決めたんだ…


金を渡すとオッサンは裏校の中に僕を招き入れてくれた


建物の中には、黒板と長机と椅子しかない簡素な構造になっており
すでに金を払ったであろう裏校入学者が数人椅子に座っていた


自分で定員になったのか、着席すると同時に
オッサンは黒板の前に立って講義を始めだした

「え~、では答えを言うので覚えてください。1、5、3、7」


え!?



そんな直接的なの!?
完全に反則じゃん


と、驚きつつも暗記


他にも答え付きの問題テキストも見せてもらって暗記


まさにチートである


そのまま裏校を後にし、試験場へ
半信半疑になりつつも、暗記した答えを答案用紙に記入していった


合否結果は波乱無く合格

あ~よかった、5000円無駄にせずに済んだ

と、合格した喜びよりも5000円無駄にしなくてよかった喜びのほうが上回ったのは少しもったいない気もした


試験も終わり、帰り道にある裏校へ寄る


裏校の入り口にいた講義してくれたオッサンに声をかけられた

「お~、受かった?おめでとう!ほら、この人さっきうちの講義受けて受かったんですよ!」

5000円払ったであろう初老の男性に僕を紹介していた

初老の男性は「え!本当ですか!握手してもらっても良いでしょうか!」

意味はよくわからなかったが、気分が良いので快く握手させてもらった

「がんばってください」とか調子に乗って言った



そんなこんなで僕は本免試験の筆記テストを合格したのであった


ていうかこんな経験だれもしなくて良いから糧にしなくて良いよ!

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キユモト
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