小話

自動車免許の技能テストで一発合格した話

↑前回からのつづき


地獄の筆記テストをくぐり抜けた僕は、ついに自動車免許取得のラスボス
本免技能テストまで辿り着いたのであった

(注意:めっちゃ長いです)

受付で精神を削られる

技能テストを受けるべく試験場に来た僕は、申込用紙に記入をして係員に提出した

係員「ちょっと…記入漏れありますよ!?ちゃんとしてくれないと困るんですよねえ」

僕「あ、すいません。…記入漏れってどこですかね?」


係員「はぁ?そんなこともわからないんですか?まったく…ちゃんと確認すれば普通はわかりますよ!?はい、次の方~!!」




ねえ、ひどくない?

そりゃ記入漏れをしたこっちが悪いけど、そんな言い方なくない?結局どこが記入漏れしてるのか教えてもらえなかったし

こんなに「幸先悪い」って言葉似合う状況無いんじゃない?なんなの?仕事つらいの?

もやもやしつつなんとか記入漏れの箇所を確認して、再度申込みを提出…

運が悪いことにまた同じ係員だ


係員「…ふんっ、良いでしょう。次回来るときは記入漏れの無いようにしてくださいね!」



次回とか無いから!

縁起悪いこと言うなよ、まったく

係員にイライラしつつも、申込書は受理されてプラカードを受け取る

プラカードには集合場所と、大きく⑥の数字が記載されていた

僕は受付で手間取ったのもあり、やや早歩きで集合場所に向かったのであった

グループ分けの違和感

集合場所は入口側以外は全面ガラス張りになっていて、試験場内のコースが一望できる開放感のある会場だった

試験場のコースが見渡せる

会場内にはホワイトボードが何台もあり、大きな数字が書いてある

僕は⑥と書いてあるホワイトボードまで行き待機することにした

まだ⑥のホワイトボード前には誰もいなくて僕が1人目のようだ

他のグループは準備が出来た順に、試験官と共に次の場所へと向かって行っているようだ

しかしあまりにも人がこない
もしかしてもうグループ⑥は集まり終わって次の場所に行っているのではないか?

そんな疑念を持ちつつも待っていると、やっと⑥のプラカードを持つ人が1人こちらに寄ってきた

よかった、もうひとりじゃない

安心感からか笑顔になりながら僕は、同士となるメンバーの顔を見た

彫りが深い異国人の方だ

…あ~、そりゃ日本で免許必要な人もいるし、日本に帰化している人もいるから不思議ではないよね!

そう思い直して、さらにしばらく待っているとどんどんグループ⑥に人が集まってきて最後に試験官がやってきた


試験官「え~、では点呼を取りますので呼ばれたかたは返事をしてください」

なんとかここまで来たな、しかし…違和感がある


試験官「カゲンドラさん~」

カゲンドラ「ハイ」


試験官「ディプソンさん~」

ディプソン「ハイッ」



いや、僕以外みんな異国の人なんだけど…?

さすがに変じゃない?むしろ僕が変では?名前が漢字で構成されてるの僕だけだもん


試験官「全員いますね、ではみなさんついてきてください」

で、名前呼ばれないし!

全員いますね。じゃねえよ!むしろ1人多いよ


僕「あの、すいません僕呼ばれてないんですが」

試験官「ん?あなた名前は?」

僕「キユモトです」

試験官「え?日本人のかた?ここは外国人用のグループですよ」


え~~っ

試験官「ちょっと受付に行って確認した方が良いですね、もう他グループ全員いないみたいだし」


え~~~~っ

結局グループ⑥に漂う違和感は周りではなく、自分だった

やっと自分のグループに合流

とにかく受付に行って確認しなければ!

そう思い、受付へ戻ると先ほどの係員がいた

係員「あぁ、君か。なんか持っていくプラカード間違えてたね。間違えないように気をつけてね」


ん?

あなたが⑥のプラカードくれたのでは?お?

相変わらずイライラを提供してくれる係員だが、今は構っているヒマはない

新たなプラカードを受け取り、さっきの集合場所まで走って向かっていると何やら大きな声が聞こえる

試験官「キユモトさーーーーん!キユモトさんはいらっしゃいますかーーーー!」

めっちゃ僕の名前呼ばれてた、恥ずかしい

係員に急いで駆け寄り、話しかけると

試験官「あ!キユモトさんですか?すみません不手際があったようで…外に出て3番の立て札に早く行ってください!」

ということらしいのでそのままダッシュで外へ

外に行くと3番の立て札前に10人ほどが待機していて、その中の1人に話しかけられた

「あ、キユモトさんってあなた?なんかめちゃめちゃ探されてましたよ」

さっきからずっと恥ずかしい

顔が熱い

とはいえなんとか本来のグループに合流することができた、技能テストはこれからが本番である

が、テストが始まる直前、急に雨が降り始めてしまった

雨か…嫌だなあ

運転の練習をするときは基本的に晴れの中やっていたので雨天時の経験値が絶望的に無い

ついでに異国のグループに割り振られるというトラブルのせいで、順番が一番最後に回されてしまっていた


ちなみに技能テストはこんな感じで行われる。

  • 試験場の外に出て指定されたコースを走る
  • コースは3種類ほどあり、試験官からコースの指定をされるのでコース通りに運転する
  • テストは1台の車に2人の受験者と試験官1人が乗車して行う
  • コースは受験者2人で分担して運転する
  • 最後に試験場へ戻って縦列駐車か方向転換のどちらかを行う
  • 持ち点はミスをするたびに減点されていき、最後に合格点を満たしていれば合格
「左:縦列駐車」「右:方向転換」

受験者2人が出発して帰ってくるまで15分ぐらいだろうか、グループは僕を入れて12人なので待ち時間は案外長い

試験が終わった人たちは重圧から解放されて表情が明るい者が多かった

自分も早く解放されたいなあ、と思いながら1時間ほど待っていると、やっと自分の番がまわってきた

この頃には、雨はどしゃ降りになってきていた…

技能テスト開始。相棒は爽やかイケメン

僕ともうひとりの若い青年以外は全員テストが終わり、僕たちの名前が呼ばれた

緊張してきた、いや今までも緊張してたけど緊張のギアが上がった

落ち着け…まずは青年がさきにテストするからまだ緊張するのは早い…落ち着け…

自分と闘いつつ車に乗り込もうとしていると、 青年は笑顔を浮かべつつ僕に「がんばろうね!今日はよろしく!」と言った

彼は余裕だ、ていうか爽やかさが尋常ではない

よく見ると顔もカッコいいではないか

青年から緊張を全く感じられない

なんだろうか、逆にテスト何度も受けすぎて慣れてしまっているのだろうか

そんなこんなで青年は車に指差し確認をしっかり行い、颯爽と運転席に乗り込んだ

試験官「Bコース周ってください」

青年「はいっ!」

良い返事をしながらどしゃ降りの中、出発

人のことだからめちゃめちゃ省くけど、完璧な運転でコースを周っていたよ彼は

そしてあっという間に青年はテストを終わらせ僕の番になってしまった

運転席と後部座席に乗り換えるときに、青年が「がんばって!」と爽やかに激励していたが僕は荒い息づかいを返事の代わりにするぐらいしか余力がなかった


「じゃあBコースのまま試験場まで運転してください」と試験官に言われ出発

出発してやっと認識したが、なんと雨がやんで晴れていた

青年が運転している間にどしゃ降りが弱まり、僕が運転する頃には雲の隙間から晴れ間が差していたのだ

今日は不運の連続でツイてないまま終わるかと思っていたが、この奇跡とも言えるタイミングで晴れを呼び寄せるための必要な不運だったのか…!?

これならいつも練習していた状態と同じだ、いけるかもしれない…!

あとは横断歩道さえ気をつけていれば大丈夫なはずだ

横断歩道を渡っている人がいた場合はもちろん、渡ろうとしている人がいた場合は車を停車させて歩行者に譲らなければならない

これが出来なかった場合、一発アウトでテスト終了だ

怖すぎる

また、いまの時間は小学生の下校時間と重なっているようで、ランドセルを背負った子どもたちが歩道を歩いているので他の時間帯より注意が必要だ

僕の命運を握っているとも知らない小学生たちのエリアをなんとか抜け、試験場に戻ってきた

あとは油断せずに試験場に戻り、縦列駐車もしくは方向転換を成功させれば文句なく合格

晴れて運転免許を手にできる…!

試験官から縦列駐車をリクエストされ、緊張しつつもゆっくりとハンドルを操作してなんとか成功!

これはやったんじゃないか!?いけたんじゃないか?

試験官「はい、おつかれさまでした。つぎ交代して青年さんも縦列駐車してください」

特にミスも無く終えることが出来た

安心しつつも何が減点対象になるかわからないので笑顔で返事する僕

僕「はい、ありがとうございました!」

いままでの緊張がウソのようだ

みんなこんな解放感を味わっていたのだろうか?今なら誰にでも優しくできそうだ

青年と席を交代するときに「がんばってね!」と激励することも出来たほどだ

青年は僕の激励にも笑顔で応じつつ運転席に座り、縦列駐車を始めた

これも彼なら問題なく成功するだろう…2人合わせて合格だ!

そう思っていると

なんか、はみ出てるっ

う~ん、おしいな

だがまだチャンスはある、もう一度やりなおして成功させればまだ合格の範疇だろう

青年もそう考えているようで、余裕の表情で再度縦列駐車を開始した

まだ、はみ出てるぞっ!!

おい!しっかりしろ!これが出来たら合格だぞお前!がんばれよ!

いつものお前なら簡単なはずだろ…!

青年の顔にも余裕がなくなり、息が荒くなっているのが見て取れた

さすがにそう何回もやり直しはさせてくれないんじゃないか…?まだもう1回やらせてくれるのだろうか?

青年が三度ハンドルを握り直し、縦列駐車を試みる…

試験官はまだ何も言わない…まだチャンスはあるようだ、がんばれ!

おいっ!!

試験官「はぁ~…もう駄目だね!これで終了にします」

無慈悲なテスト終了宣言がついにされてしまった

すると青年は手を合わせてヘコヘコと頭を下げつつ

青年「そんなぁ、お願いしますよぉ。もう一度チャンスください!」

と懇願しはじめてしまった


試験官「んん!?もう何度もやっても駄目だったでしょ!次回頑張ってください!!」

青年のプライドを捨てた懇願は、逆に試験官の心象を悪くしたようで強めの口調で強制終了となってしまった

知り合ってまだ1時間の仲ではあるが、彼のそんな姿を見たくなかった

緊張の合格発表

長いテストが終わり、我々グループは最初の受付エリアまで戻ってきた

朝の人混みが嘘のように、人気がなく
電気も消されていたので薄暗い中での合格発表だ



試験官「え~それでは、合格した人だけお呼びしますので、呼ばれた人は受付まで行ってください」


緊張の一瞬…



試験官「え~と…、キユモトさん!」




え!?


きたきたきたああああ、よしよっし!やったあああ!!!


試験官「以上です」




え!??




おれだけ!?

なんと合格者はごのグループの中で自分1人だけだったのである

こんな経験はじめてであったが、はずかしくもあり純粋に合格がうれしくもあり、自分だけ合格という優越感もあって複雑な感情でいっぱいになった

ほかのメンバーは当然であるが無言だ

受付にいそいそと行くと、上の階にいって写真を撮って免許を受け取ってこいとのことだった

僕は他の人たちを残し、ひとり上の階へ向かっていったのであった

免許交付

2階へと上がってきた僕は写真をとり、免許交付してもらった

はじめて大きな資格を取得した瞬間である

ちなみに奇跡的に止んだ雨だが、試験が終わってしばらく経つとまたポツポツと降ってきていた

まるで爽やかだったあの青年の涙のようだ…

そう思いつつ、僕は試験場を去り駅へと向かっていった

ABOUT ME
キユモト
スーパーインドア雑記ブログを運営中。 ゲームやマンガ、家を快適に過ごすモノを中心に記事を作成しています。

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